モデリング日記 Feb2021

Feb 6

身体にくっつくもの、例えば髪の毛や衣服を作っている中で感じた、「ポリゴン同士が重なったり、交差や貫通していたりしても、VRChat上で動かすことに支障は無いの?」とか、「立体として閉じた形(3DCADでいうソリッド)になってない、いわゆる板ポリ(同・サーフェス)てどうなの?」とかの疑問について質問する機会があり、両者とも特に問題はなさそうだという答えにたどり着きました。この日を境に、髪の毛の造りを立体として閉じた形ではなく、板ポリに転換しました。
こと仕事で扱う文書においては、キッチリ綺麗なデータになっていないと気が済まないタイプなので、職場内で行頭の一文字下げるのをスペースで行っていたり、大量のスペースで強引に中央揃えや右揃えをしたりするようなのを見ると、物凄い勢いで修正したりしていたのですが、いざ自分がモデリングをするとなると、そんな風に"きれいなデータ"を作れる自信がなく……「ソースコードが汚い!」と先輩に詰められるのに怯える素人プログラマの心持ち。
ここでようやく、アウトプットを重視して、細かいことには目をつぶっていこうという考えに至りました。Wordだってそうだ、文書にスペースがいくら入っていようが、印刷されてしまえば紙には一切出ないのだ。最終的な成果物さえ良ければいいじゃないか、と……(許されるために許していく卑怯なスタイルである)
というわけで、VRChatで無事に動くことを目指していきます。初めての一からのモデリング、改めて温い目で見守って頂ければ幸いです。

Feb 7

2月8日から今期(?)が始まる「256Fes」という作品公開用ハッシュタグの存在を知り、新しく簡単な3Dモデルを作ってみることにしました。ポリゴン数256枚・テクスチャ256平方ピクセルという条件でモデリングをして発表しようというもので、2の8乗が256だから2月8日なのだそうです。
UV球のポリゴン数をざっくり減らし、腕をつけてハニワ型に。その頭に七支刀をぶっ刺し、シェイプキーでしゃべりに合わせて七支刀が動くようにしました。やってることは前のカボチャ(・ε・)とあまり変わらないし、むしろ簡略化された感もありますが、UV展開・リギング・Unityと比較的スムーズに工程を踏むことができ、1日でVRchatへのアップロードが完了するというスピード納品を達成。よいおさらいになりました。

f:id:olicht:20210212215725p:plain:w400
はにわといえばしちしとうですよね(サボテンとジャガイモにしか見えない)

しかし、Twiterに次々アップされてくる作品のクオリティがめちゃくちゃ高く、ぶちのめされるばかり。自分の作ったキャラは、ただポリゴン数が少ないだけで、決して”ローポリ”とはいえない……

Feb 11

ペトルちゃんの最大の特徴のひとつである頭のスカーフを先月末にBlenderで作ってみたところですが、下絵と比較すると、頭の膨らみが随分失われてしまいました。頭の形に沿わせることを意識するあまり、ぴっちりくっつけすぎたのが主な原因です。当時はまあ初めての人間型だし仕方ないよねと思って気にしないようにしていましたが、時間が経ち、出来上がってくるにつれ、どうにも気になってきてしまったので、手を加えてみることに。
スカーフの外側とサイドの髪の毛を左右に広げてボリュームを持たせつつ、空いた隙間がスカスカに見えないように、前髪のポリゴンを複製して差し込みました。
あと、カーブで円筒のメッシュを作り、ところどころループをキュッと絞って玉ねぎおさげを作りました。

f:id:olicht:20210224105736j:plain:w400
最近好きな玉ねぎおさげ(初期デザインではゆるめの三つ編みでした)

スポっと着せただけの丈の長いTシャツから、袖・胸・背中部分を複製して、それらを繋ぎ合わせてケープを作り、元のTシャツは袖のポリゴンを削ってキャミワンピにしました。裾をファーっぽくして、クリスマスのコスプレ衣装みたいなのを目指しています。
「こんなのを作りたい」「ここをこう直したい」というイメージを、実際に手を動かして(手段とクオリティはどうあれ)形にしていく……やり方は雑ですが、先月の自分には出来ない芸当です。出来上がった衣装を見てちょっと感動。

f:id:olicht:20210224105732j:plain:w400
ケープを作りました。ウェイトペイントの作業が今から心配です

モデリングがざっと出来上がったので、ちょこっとウェイトペイントとテクスチャの入り口も覗いてみよう……と思ったら、どっちもわけがわからなくてBlenderをそっと閉じました。やれんのか、果たして。

Feb 18

「256Fes」の打ち上げ・記念撮影会へ参加するためにVRChatへ。
Twitterで見たことのある作品の作者の方々が集まり、実際に動いているモデルを間近で見て、ローポリモデルの組み方とか、ポリゴンの少なさをカバーするテクスチャの描き方にひたすら感服していました。
記念撮影後、Blenderモデリング講座の動画でめちゃくちゃお世話になったzenさんとも二三お話ができて楽しかったです。
テクスチャとウェイトペイントが、いくら解説動画を見ても頭に入ってこなくて、やる気に多大なダメージを負っていましたが、此度のイベントでだいぶ回復しました。やってやらー(L・ボルト・リング)

Feb 23

UV展開に挑戦。
もともとモデリングの段階で先にシームは入れていましたが、いざ展開してみると、メッシュがめちゃくちゃなサイズと形状になってしまって、何が何やらという状態…というのが前回までのこと。実はコレ、まだUVメニューからの「展開」を一度もせずに、全ての頂点を選択してUVエディターにメッシュを表示させただけで「展開」したと思っていた、ただの勘違いでした。ちゃんと展開を実行したら、歪みはあれど、それっぽい形状と、いい感じの大きさのメッシュが並びます。
UV編集は、3Dビューの編集モードで選択した頂点だけがUVエディターの方に表示されるという、よくわからない挙動に慣れるのが一番大変でした。位置の確認や歪みを調整するためのカラーグリッドテクスチャの導入にも苦労しましたが、シェーダーエディターを触った経験のおかげで「マテリアル」が何たるものかをちょっと理解できた気がしますし、入れたカラーグリッドが非常に便利で、歪みや向き、位置などの調整が捗ります。気が付けば夜になっていましたが、身体部分のUV展開が何とか出来ました。

f:id:olicht:20210226151741j:plain:w400
展開し直したときにメッシュが動いてしまうのが怖いので、形が整ったら基本全部ピン止め

(今後いろんな着せ替えをしたいので素体部分から作っています。後からでもよかったかも)

Feb 25

首から下に続いて、頭と髪のUV展開。
髪の毛は把握がしやすいように、前→横→後ろと順序をつけて並べました。テクスチャの塗りとの兼ね合いについてはまだ勝手がわからないので、今回は詰め込みを重視して全て四角形に変形して整列。Zenさんの動画のテクスチャの章で紹介されていたプラグイン・TexToolsを使いました。楽。
頭部は、顔の正面・顎の下・後頭部・髪の地肌に分かれるようにシームを入れて展開。顔のスペースだけ大きめにとり、顔以外はテクスチャで描き込む要素が特に無いので、調整はせずにそのまま小さく縮めだだけです。
白目と口はメッシュが頭と繋がっているので、顔との境目(まぶたの内側と唇の内側)にそれぞれシームを入れました。瞳・眉毛・まつ毛は形状が単純で、メッシュも顔と繋がっていないので、そのまま展開して整列。
ここまでで、ひとまず服以外のUV展開が出来たので、服の展開より先に、テクスチャペイントモードで単色で塗ってみることにしました。

f:id:olicht:20210226151745j:plain:w400
肌の色味が見たくてワンピースだけ非表示にした図

単色で塗り潰したテクスチャを貼っただけで、今まで作ってきたモデルが一気に無機物から生き物に近づいてきて感動。

Feb 26

ボーンを入れてウェイトペイントに着手。
このウェイトペイントが伝え聞いた通りの面倒くささで、ボーンのひとつひとつに対して、どこのメッシュがどれだけ連動して動くかという割合を手で塗っていき、ポーズモードで動かしてみて…と、説明するのも面倒な作業を、納得がいくまで繰り返す、ひたすら地味~な工程。でも、これをちゃんとやっとかないと、VRChatに持ち込んだ美少女が異形の生き物になってしまうので、大事な工程です。大事じゃない工程はないんだけども。
ただ、身体のメッシュをボーンに関連付ける際に、だいたい自動でウェイトの割合を振ってくれる機能がBlenderには備わっているので、ポーズを変えてみて気になる部分を直していく程度の作業量で済んでいるのですが、それでも多いものは多い。
ボーンはBOOTHで無償配布されていたものを使わせていただきました。
https://booth.pm/ja/items/2059231booth.pm

Feb 27

昨日の段階で身体のウェイトペイントを大体終わらせたので、今日は衣装。
身体と衣装とを同時に動かすには、両方ともウェイトがついてないといけないんだよなぁ、身体に服がついてくるような方法は無いかなぁと思っていたら、「ウェイト転送」といって、身体のメッシュに塗ったウェイトの情報を服のメッシュにいい感じにコピーするという技法があることを知りました。特にワンピースの胴部分は、胴体にぴっちりついてこないと困るので、非常に助かります。うっかり裸のポリゴンが表に出すぎちゃうとおセンシティブですからね。
また、最大の懸念事項のひとつだった、ケープのウェイトのつけ方にもアドバイスをいただき、腕を前に出してもケープを貫通しないようにできました。ケープの前面はどうやっても崩れてしまって、打開できないままですが……

f:id:olicht:20210301134836j:plain:w400f:id:olicht:20210301134840j:plain:w400
腕を上げるとケープがついてくるようになったけど、前面が胸の方向に沈む

この辺から、マウスを使ってグジグジと塗る作業に手が疲れてきて、久々にペンタブを出しました。

Feb 28

「仕事で煮詰まったら仕事でリフレッシュか……負けたよ丹さん」

これは、「グランツーリスモを創った男達」に登場するプロデューサーの山内一典さんが、プログラマーの丹明彦さんの様子を見に行ったら、メインのプログラムの傍ら、”気晴らしに”別のプログラムを詰めていたのを見てつぶやいた一言で、○○を創った男達シリーズ中、屈指の名言だと思っています。そうです、ウェイトペイントで詰まったので、アップロードして動作チェックしてみようと思ったのです。
ついでにシェーダーをいくつか試してみようと思い、Sunao Shaderとまんまるしぇーだーを導入してみました。

f:id:olicht:20210301134844j:plain:w400f:id:olicht:20210301164006j:plain:w400
初めてアップロードした様子(まんまるしぇーだー使用)

なんか左手が殺傷力高そうな形してるー!
指を曲げたときに形が崩れないようにウェイトを調整したつもりだったんですが、何かの拍子に、指先のメッシュのウェイトが、指先以外の部分にかかるように塗ってしまっていたようです。とりあえず下手な調整はやめて、自動ウェイト付けされた状態に戻すことに。

f:id:olicht:20210301164002j:plain:w400
テスト用ワールドで後ろ姿の確認(Sunao Shader使用)

実際動かしてみて、要改善なところがたくさん見つかりましたが、VRChatで動くものを作れたんだなぁと、けっこう感動してます。3月中には完成できるかな?