涙はふかない

9月1日、カーリングシトーンズのコンサートツアーへ行ってきた。
シトーンズの北見公演がコロナのせいで中止になったのは2年前のこと。2022年になり、再び北見でやるということをチケット一般発売の告知で知った。
最後に外食をして2年。耐えてきた自分に、いろんなものを失った自分にご褒美を。なるべく、他人様に迷惑がかからないように……そんな思いで購入手続きを進める。こんなドリームチームの公演のチケットを、抽選も何もなく、一般販売ですんなり買えてしまえたことが何よりの驚きだった。
心がぶっ潰れてしまって数ヶ月、何もかもどうでもよくなって、どうせなら好きなものを見て、具合が悪くなってしまったら一人でひっそり死のうかな、などとたわけたことを考えるようになりながら、それでも、手は洗うし、マスクはつけるし、ワクチンだって可能な限り最短のスパンで入れ続けようとしている。本能か惰性か、生きる確率を上げようとしている。自分の矛盾を、滑稽だなあと笑っている自分を、こんな風に何重にも俯瞰している自分に、人類みを感じる。

コンサートは、端的に言ってとても良かった。
座席からステージへはけっこうな距離があるはずなのに、メンバーみんなの顔がはっきりと見える。観劇や演奏になると視力が上がる謎の感覚(人間がそういうつくりなのか、個人的にそう感じているだけなのかは知らない)が久々にあった。
アンコールの最後で歌われた「涙はふかない」を、帰り道ずっと繰り返し聴いていた。何の歌を聴いても辛い記憶と重ねてしまって勝手に苦しくなってばかりだったけど、シトーンズの曲はどれも慰められる。
行けてよかった。