ものぐさはサビと同じで、労働よりもかえって消耗を早めるが、使っている鍵はいつも輝いている

先週、業者から自宅の中に入って作業する旨の連絡があり、自分しか使っていない荒れ放題の部屋を物凄い勢いで片付けていた。今日はその業者が入る日(10月31日)の前の日であり、休んでる余裕もないのにひと息つきつつ、片付けている最中に思ったことなんかをつらつらと書いている。

片付け本が埋もれる部屋の住人、動く

さてさて小職、整理整頓や物を捨てるのが大の苦手で、無駄にストックをしたがり、乱雑に積まさっている物の中から必要なものを引っ張り出すのが得意で、引っ越しのたびに段ボールに無造作に詰め込むことを繰り返し、現在もその段ボールが開封されないままになっているものも少なくない、わかりやすいものぐさ人間なのだけど、今のところ順調に、不用品、もとい、必要なつもりで置いておいたものを、踏ん切りをつけてサクサク処分していっている。とりあえず人が入る玄関と居間のものを片付けていて、燃えるごみで45リットル袋の8袋分、燃やさないごみで同6袋分は捨てている。自治体の専用ごみ袋まで無駄にストックしていたので、この時ばかりは助かっている。
過去に何度も片付けをしようと、本を買って読んだりはしてみたものの、どうにも動き出すことが出来ず、その片付け本の中には、買ってきたきり読まずに何かに埋もれていったりしていたけれど、さすがにまずい。何とかしなくてはと、たまたまKindleでポイント還元キャンペーンの対象になっていた勝間和代さんの片付け本を買って読んでみた。凝りもせず。
モノの捨て方について書かれている本は、だいたい似たり寄ったりという印象で、この「2週間で人生を取り戻す! 勝間式 汚部屋脱出プログラム」もそんな感じではあったけれど、いくつか自分にピタッと合うものがあった。それは、

  • 手放した場合に買い直す「再調達コスト」で判断する
  • 簡単で、効果を実感できるところから始める
  • 家事はためずに、気が付いたときに逐次処理する

の三つ。たぶんどこか別の本で見たことがあるかもしれない(気のせいかもしれない)けど、この本の内容がスッと入ってきたのは、たぶん文章の書き方と、メディアで見る勝間さんの印象と説得力によるところが大きいんだと思う。
この「再調達コスト」という考え方が個人的にとてもよく、「今使わないけど将来使うかもしれないから……」と取っておきがちなものを捨てるか残すかの判断を下すのにバチンとはまった。そして、捨て始めの勢いに乗って、あれもこれもと躊躇がなくなっていっている。その成果が順調にいっぱいになり続けるごみ袋の山に出ている。あまりにノリに任せて何でもかんでもと捨てていくと、後で必要な物がなくなっていることもあろうけど、楽しくなってきた。

思い出のトリガー

さて、片付けのことを書こうと思ったのは、ついさっき、この部屋に引っ越してから長年居座り続けていた段ボール箱2箱の処分を終えたときに、その中身を見て、大体のことが思い出せてしまったからだ。
水引き用の紐を見つけて、ああこれは池袋の東急ハンズで買ったやつだ、もうしばらく使うこともないから処分。木のブロックを見て、これは消しゴムはんこにつける持ち手のために、大宮の東急ハンズで買ったやつの余りだ、でも余りだし使い道もないから処分…と。忘れていてもおかしくないことばかりが、物を見ることで引っ張り出されていく。記憶が蘇るということはとても気持ちがいいけれど、大して思い入れのないはずの物のことまで思い出してしまうのは、どうにも不思議な感覚だ。
そして、これを捨ててしまったが最後、脳の中に記憶があったとしても、きっともう思い出すことは無くなるんだな……と、ちょっと切なくもなった。でもこのことを書いたから紐とハンズのことはまた思い出せるかもしれない。
この日記をつけるのに1時間ばかり要した。業者が来るまであと7時間。頑張って片付けて、そして少しは寝たい。