ほことたて

6月初旬。
東京オリンピックの開催をさらに延期して、緊急事態宣言と休業補償・給付金で人の移動を抑える。そうすれば、ワクチンの接種を進める時間を稼げる。ついでに涼しい気候の中で競技が出来るようになる。
いいことしかないのでは……いやいやそんな単純にいくはずがないだろうと、関係各所の負担を考えろと、方々からの突っ込みに脅えながら、素人は考えた。開会式が終わり、競技が本格的に開始(はじ)まっちゃった今も、その考えは変わらない。
開会式も、日本じゃないどこかの国での出来事のようだったなぁと振り返りながら、思いっきり大國魂神社の境内を走る自転車を見ている。
感染拡大がひどくなるようなら、一時的な中断が出来るような備えはしているんだろうか。それにしても暑そうだなぁと思いながら、スケートボードの決勝を見ている。
東京都の月曜日の感染者数と、医療従事者の嘆きのツイートと、河川敷で集団バーベキューをする様子を見たその目で、卓球ミックスの決勝を見ている。
彼方を立てれば此方が立たず。メイチで仕上げてきたアスリート、出資している企業の人、通勤で公共交通機関を使う人、お店を経営している人、複数人で飲むのが好きな人、実家に帰りたい人、保健所の人、医療現場で戦う人……思いつく限りの立場に思いを巡らせた。結果、懸念を抱きながらテレビ観戦という、矛盾したことをしている。
好意的なコメントは政治に利用されるだけだから、言わない。祝うということは肯定すること。ガッチリ但し書きをつけたところで、上澄みの「あり」の部分だけが掬い取られてしまう。
最低限外に出て、家にこもる。自分で考えて、ドネーションをする。自分に出来ることはこれしかない。
早く全日程終わってしまえ。感染拡大を抑えて無事に終われるといいね。